英語担当の教師によると、リサは上品なクィーンイングリッシュを使うらしい。

いかにもリサの容貌にあっていると思うが…そんなことはどうでもいい。

 

リサは校長室に入ると、まずは学校経営に関する資料を調べ始めた。

校長としては当たり前の事だが、私にとってはいきなり最大のピンチを迎える事になったのだ!

「校長、そんな雑用は私に任せていただければよろしいのに…」

「いえ、私はこの学園の全てを把握しておきたいの」

何気ない言葉が私の心をえぐる!

そこには私が最も他人に知られたくない秘密がある。

この学園は多額の寄付金によって運営されているのだが、私はそれを湯水のように使い込んでいたのだった。

前校長の時は経理一切を任されていたので、心置きなく投資に失敗する事ができ、愛人を囲うことも出来た。

長年にわたる使い込みの金額は到底補填できる額ではない。

 

「おかしいわね?どうしても必要な資料が見つからないわ」

私は沈黙した。収支の流れを見れば、不自然な所がすぐに分かる。そういう恐れのあるものはもちろん私が前もって隠してあるわけであるが、そんなことが言える筈がない。

「蛭田さんなら分かるでしょう。この次までに近年の収支報告書をまとめて提出してくださいね」

もう、ゴマカシができる段階ではない。

「わ、わかりました。少々時間をください」

特に怪しい所はないだろう。ごく、普通の返答だと思う。まだ、私が使い込みしたという事が発覚はしないが…

 

リサは海外で経営学を勉強していた。

しかも、かなり優秀な学生だったらしい。

リサの怜悧さはここまでの行動で十分わかっている。いかに巧妙に作り込んだ嘘の報告書を出してもバレてしまう事は間違いない。

私は完全に追い込まれてしまった。

とても、私の口車に乗るような女ではない。何か決定的な弱みでもあればよいのだが…

 

   
   

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