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高橋は学校に来るたびに美佐と合い、色々雑談をするようになった。
美佐の方でも高橋と会うのを楽しみにしていた。主な話題はやはり学校の事であったが、次第に他の事も話すようになり、ついにはお互いのプライベートな事まで話すようになった。高橋には今特定の女性がいない事を知った時は無意識に顔が赤くなってしまった。いつの間にか美佐は恋心を抱くようになっていたのだった。高橋は弁護士なので毎日学校に来るわけではないが、美佐は彼が来るのを心待ちにするようになっていた。どんな男にも負けないほど強い美佐であっても、やはり一人の女性である。好きな男の前ではまるで子猫のように可愛らしい仕草をしてしまい、後で赤面してしまう有様だった。
そんなある日。
「こんにちは、雪村先生!」
廊下を歩く美佐に高橋が声をかけた。美佐はすこし頬を赤らめて立話をした。
「実はですね、学校に来る途中でここの生徒らしい男が数人、恐喝まがいのことをしているのを見たんですよ」
「えっ!本当ですか?」
なんて恥ずかしい所を見られてしまったのか!この学校に問題の多い生徒が居る事は勿論高橋も知っているが、そういう現場を見られることは教師として実に情けない事である。
「相手は数人いたし、腕力に自信はないけど、僕は黙って見過ごすわけにはいかないから声をかけたんです。そしたら皆逃げてしまいました」
腕力に自信のない男とは情けないが、それを自覚しつつも悪行を見逃さない勇気に美佐は感銘を覚えた。高橋の話だと、加害者も被害者も同じ制服だったので全員ここの生徒のはずであるらしい。美佐は覚えている限り、その生徒達がどんな姿形・顔であるかを聞き出した。
「分かりました。高橋さんはお仕事中でしょ。この件は私に任せてください。」
高橋の話に該当する生徒はすぐに思い当たった。田上というカバのような顔をした生徒である。