校長の話を聞いてから、そういう目で校内を見ると色々と納得の出来る所があった。

と同時に美佐は、それほどまでに学校経営が苦しいものかと思い、金の収支に関する資料を閲覧する許可を校長に取って見た。

 

数学教師でもあり、数字に強い美佐はしばらく金の流れを見ているとおかしな事に気が付いた。巧妙に隠してはあるが、どう考えても収支と支出の計算が合わない。

「まさか…横領?」

頭脳明晰な美佐はすぐにピンと来てしまった。もし、横領だとしたら大事件である!とはいえ、まだ美佐個人の想像の範囲を出ていない。この段階で校長に報告する事は出来ない。動かぬ証拠を掴んでから出なくては!

早速美佐は行動を開始した。一番初めに疑うべきはもちろん経理を担当している職員だ。横領は会計係が一番怪しいと言うのは当然である。さりげないフリで事務室に入り、早速経理を担当している職員の机を見た。すると、パソコンのモニターの横にメモ用紙が張ってあった。よく見るとそれは、銀行口座のIDとパスワードだった!

もちろん、ランダムな数字とローマ字の羅列であり、一目それが何か理解できる者は居ないが、口座に不正アクセスを試みようとするものにとって、そういう目で見ればすぐにパスワードだと分かってしまう。美佐でさえ分かったのだから。

余りの管理のずさんさに愕然とし、これで、横領の疑いが全職員にまで広がってしまった。

美佐はすぐに経理担当の四谷という男を呼んで激しく叱責し、メモ用紙を外すようにいった。四谷はパスワードをパソコンに貼り付けるようないい加減な男だから、髪はボサボサ、無精ひげ、服装も不潔、いつ風呂に入ったか分からないような格好だった。

美佐は、四谷と同席の元、誰かが口座に不正アクセスした痕跡が無いか確認する事とした。四谷は自分の手抜きを注意された事と余計な仕事が増えてしまった事で、ふてくされたような態度で美佐の手伝いをしていた。

 

美佐はモニターを見ながら思った。やはり、横領犯として一番怪しいのは四谷であり、たとえ、四谷が犯人でなくても大切なお金を扱う仕事をする人間としては不適格であると、校長に報告しようと心に決めていた。

   
   

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