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「酷い遅刻ね!あなた名前は?」
美佐は決して激しく叱責する事は無く、あくまで冷静に遅れてきた男子生徒を注意した。
生徒は三上という男だった。
三上は元気なお調子者としてクラスに知られている男だった。そんな三上が美佐を見た瞬間その余りの美しさにしばらく動けなくなる。今日新任の教師が来るとは聞いていたが、これほどまでに若く美麗な女教師だったとは!?スラリと背が高くファッションモデルか映画女優のようである。東洋的な切れ長の目元に高貴な雰囲気があるが、近寄りがたいほどではない。楚々とした仕草や清純な様子に親しみ易さがある。いかにも、大人しそうな女教師だ。
美佐の大人しい令嬢風の美しい姿に、お調子者の悪戯心に火をつける。
「ヘーイ、すみません、以後注意しまーす」
三上がふざけた返事をしながら、新任女教師の前を通り過ぎようとした時、男なら誰でも一度は触ってみたくなるほどに豊満で柔らかそうな美佐の胸に、ギュウッと掴みかかった!!
それを目撃したクラス全員が、あっ!と息を呑む!!
が、次の瞬間、別の驚きが教室を包み込んだ!!
「いっ!いてててっ!いてええっ!!」
三上の悲鳴が聞こえた!!
生徒達はその一部始終、目を離さずに見ていたはずなのに、何が起こったかサッパリ分からない!三上がセクハラしたのは見た。次の瞬間、女教師美佐がスルリと華麗に舞ったかと思うと、いつの間にか悪戯な生徒の腕を逆関節に取り、取り押さえていた!!
背の高い美佐に対して、三上もそれほど大きな男ではないが、男と女では体格が全然違う。体力差は歴然としているはずなのに、男子生徒は女教師に簡単に平伏してしまったのだ!!
さらに驚く事に、美佐は眉一つ動かしていない!相変わらず美しく端正な涼しい顔のままだ!
「あのね、セクハラは犯罪よ!こんな事しちゃ駄目!わかった?」
「わ、わかりました!もう二度としません!!離して!」
美佐が技を解くと、三上はもんどりうって倒れこんだ!!
しばらくの静寂の後、教室は割れんばかりの歓声に包まれた!
美佐は教室に入って10分ほどで、生徒達の人気者になってしまった。
ただ、若く美しい女教師というだけでも十分人望を集める要素になるのに、こんなに大人しい顔で、男にも勝るほど強い!そのギャップが素晴らしく魅力的なのだ!
後は生徒達の質問攻めである。
今の技は何ですか?雪村先生は一体何者なんですか?どんな武道を習っていたんですか?等々。美佐は困った顔をしながらも一つ一つ丁寧に答えていく。
さっきの技は合気道の護身術である事。その上柔道の有段者である事など。
それが分かるともう生徒達は止まらない。今日の授業が全て終わった後のホームルームに学校の道場で美佐にその強さを披露して欲しいと頼まれてしまう。
美佐は、本当に困り切ってしまった。